スプリングドライブ 5 Days

Caliber 9RA5

グランドセイコー専用のスプリングドライブムーブメント「キャリバー9R」の誕生以来、磨き深めてきた技術を集結させた、次世代のスプリングドライブムーブメント「キャリバー9RA5」が2020年に誕生しました。

スプリングドライブの生まれ故郷・信州時の匠工房では、専任の職人たちがケース、ダイヤル、針、インデックスなど腕時計を構成するパーツのひとつずつを丹念な手作業によって作り上げています。ムーブメントの開発・設計・製造から組立調整に至るまで、卓越した技巧を持つ匠や才器ある技術者たちは、時計づくりのすべての工程において「道」を究めるべく、さらなる高みを目指してひたむきに技術の研鑽を重ねてきました。キャリバー9RA5は、その技術の粋と情熱を凝縮したスプリングドライブムーブメントといえるものです。

月差±10秒という高精度を実現するとともに、「オフセットマジックレバー」を採用することで、従来の厚さに比べて0.8mmの薄型化を図りました。それと同時に、りゅうずの位置を可能なかぎり裏ぶた側に寄せることで腕時計の重心位置を下げ、これまで以上に優れた装着性を適えています。さらに、省スペースを図った大きさの異なる香箱を2つ並べて配置した「デュアルサイズバレル」によって、従来の72時間をはるかに超える120時間のパワーリザーブを実現しました。薄くなったムーブメントの堅牢性、耐久性、耐衝撃性を確保させた「ワンピースセンターブリッジ」など傑出した技術の粋を尽くすことによって、洗練されたスプリングドライブムーブメントを完成させました。

ムーブメント仕様

巻上方式 自動巻(手巻つき)
精度 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)
持続時間(最大巻上時) 約120時間(約5日)
石数 38石
その他機能 - オフセットマジックレバー
- デュアルサイズバレル
- ワンピースセンターブリッジ
- 日付表示機能
- パワーリザーブ表示機能

キャリバー9RA5が、月差±10秒という高精度を実現できたことには、3ヶ月に及ぶエージングによって厳選された水晶振動子とICを真空パッケージに封入した「高精度スプリングドライブパッケージIC」が大きく寄与しています。水晶振動子は温度変化によって振動数が変化しやすい特性があるため、キャリバー9RA5は、極めて小さな消費電流で動く「SOI-IC」と呼ばれるICを搭載し、IC内の温度センサーによって時計内部の温度測定を1日に540回行い、そのデータをもとにIC内で温度影響を判断し、水晶振動子の振動数の誤差を補正しています。さらに、このI Cと水晶振動子をひとつの真空パッケージに封入することによってIC内の温度センサーと水晶振動子との間の温度差をなくし、より高精度な温度補正を行うことを実現しました。水晶振動子とICをつなぐ配線も真空パッケージ内に封入することで、湿度変化による影響を抑えるとともに、シールド効果によって静電気や光の影響などもなくしています。

ムーブメントの外観には自然をモチーフとした美しい仕上げが施されています。めりはりのある輝きを与えるべく「受」の表面には落ち着いたトーンの梨地加工、その稜線や端面、穴のまわりには、シャープに輝くダイヤカットを施し、光を讃えるブランドであるグランドセイコーならではの品格と情緒をあわせ持つ美しい外観を実現しました。

ブランド誕生60周年の節目に生まれた次世代スプリングドライブムーブメントは、音もなくダイヤルの上を滑らかに動く秒針とともに、移りゆく季節のごとく、静かに時を映し続けながら、次なる60年の未来へと向かって、日本から美しい時を紡いでいきます。

腕なじみの良い装着感を適えた薄型ムーブメント

キャリバー9RA5は、装着性に配慮した設計で、ムーブメントの厚さを従来のキャリバー9R6系と比べて0.8mmの薄型化を実現しました。回転錘をはじめとする部品の薄型化を図りながら、ムーブメントの底面からりゅうずの中心までの距離を4.2mmから3. 4mmへと縮め、りゅうずの位置をできる限り裏ぶた側に寄せることで、腕時計として腕につけた時の重心位置を下げています。腕により近い位置に重心を移すことによって腕なじみの良い装着感を実現するとともに、ムーブメントの薄型化によって、腕時計としての薄型化も果たしました。

ムーブメントの薄型化と動力ぜんまいの巻上効率の向上を実現した「オフセットマジックレバー」

ぜんまいの自動巻上方式に、「オフセットマジックレバー」と呼ばれる機構を採用しています。キャリバー9R6系に搭載したセンターマジックレバー方式では、マジックレバーの軸が回転錘の中心軸からずれた偏心ピンに入っていることで、ぜんまいを巻き上げることができる一方、ムーブメントの中心に、回転錘とマジックレバーを重ねる構造を取っていたことから、厚さの課題がありました。

そこで、キャリバー9RA5では、新しく開発した「クランク車つきマジックレバー」を採用し、それをムーブメントの中心からオフセットして配置することによって、薄型化を実現しています。「クランク車つきマジックレバー」は、信州 時の匠工房独自の切削技術によって作られた新たなマジックレバーの構造で、クランク車による負荷を最小限に抑えるための改良が施されています。さらには、伝え車の配置も移動させることで、この「オフセットマジックレバー」によってムーブメントの薄型化を図りながら、巻上効率を向上させました。

120時間の長時間持続を可能にした「デュアルサイズバレル」

「デュアルサイズバレル」は、スプリングドライブムーブメントの動力源となるぜんまいを収納する香箱を2つ並べて配置しています。キャリバー9RA5は、この機構を搭載するとともに、輪列増速比を見直すことで、キャリバー9R6系と同等の高トルクを確保しながら、120時間の長時間持続を実現しました。同じ大きさの香箱を2つ並べた場合、デッドスペースができてしまうため、大きさの異なる2つの香箱(デュアルサイズバレル)を配し、限られたスペースを無駄なく有効に活かした構造になっています。香箱は、その大きさによって動力の伝達効率が変動しますが、キャリバー9RA2では、2つの香箱が、同じ効率で動力ぜんまいの力を伝達できるよう改良を加え、均等に巻き上がる機構を実現しました。

堅牢性を格段に向上させ、伝達効率を高めた「ワンピースセンターブリッジ」

キャリバー9RA5では、従来、3つのパーツに分かれていた1番受、2番受、巻真受を一体化させ、ムーブメントの中心に1本芯の通った大黒柱を通す「ワンピースセンターブリッジ」を採用。

キャリバー9RA5では、この構造によって、3時-9時方向の地板を強靭に補強しながら、構造内にほとんどの輪列を収めることで、堅牢性、耐久性、耐衝撃性を格段に高めています。また、従来、別部品であった3つの受が一体となったことで、部品や組立のばらつきをなくし、歯車間の伝達効率を高めることにも寄与しています。

信州の美しい自然の情景を映し出す情感あふれる趣を体現したムーブメントの仕上げ加工

ムーブメントの外観にはスプリングドライブの生まれ故郷・信州の自然にオマージュを捧げた、こだわりの仕上げ加工が施されています。イメージしたのは、初冬に見られる霧氷の木々や、そのすき間から見える星空です。氷点下から生まれる霧氷は、氷層特有の凹凸ある質感と全体から放たれる美しい光の輝きが特徴的です。そこには、いつまでも眺めていたくなるような独特の美しさがあります。キャリバー9RA5では、霧氷をムーブメントの外観で表現するべく「受」の表面には梨地加工を施し、落ち着いたトーンに抑えながら気品ある静かな輝きを実現しました。受の稜線や端面、穴のまわりにはダイヤカットを施すことによって、夜空に煌めく星のごとく、どこからでも光を受けて、シャープな輝きを放ち、これまでにはないメリハリのきいた深遠な輝きを実現しています。

9Rスプリングドライブとは

ぜんまいを動力源としてローターを回転させ、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、そのわずかな発電で水晶振動子を駆動する。
機械式時計とクオーツ式時計のメカニズムを融合した、グランドセイコー第三の心臓、9Rスプリングドライブムーブメント。
世界の時計師たちが夢見ながら決して実現できなかった世界で唯一のイノベーションがここにある。

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