グランドセイコー、美し「時を伝える腕時計

Vol.6村瀬治兵衛の漆芸と重なり合う、優雅な造形美。

THE NATURE OF TIME

ていねいな手仕事から、
すべての創作が始まる。

造形と塗りに宿る、
手仕事の痕跡。

やわらかなフォルムが美しい、三代目・村瀬治兵衛が手がけた「根来塗 瓶子(ねごろぬり へいし)」。いにしえの文化を学び、高度な伝統技法に裏打ちされた美しいフォルムが魅力だ。

本来、漆芸の世界では、ベースとなる木地をつくる木地師と、漆を塗って作品を仕上げる塗師が異なる分業制になっています。しかし当時の趣味人や芸術家の北大路魯山人との出会いにより、分業では限界があると考えたのが、愛知県名古屋で江戸時代から続く木地師の家系に生まれた初代・村瀬治兵衛でした。

彼は石川県輪島から職人を呼び寄せて漆塗りの技法を学び、伝統的な根来塗(ねごろぬり)の古い作品の復元や修理を手がけることで技術を高めていきました。この根来塗とは和歌山県の根来寺をルーツとし、下地に黒漆を、その上から朱漆を塗る漆芸。表面の朱漆が摩耗して下地が現れることで、それが味わいとなるのです。現当主となる三代目・村瀬治兵衛も、その伝統を受け継いでいます。デッサンし、素材と向き合い、木地をつくり、塗りを施す。そのすべての製作工程は、必ず人の手によって生み出されるものなのです。

美意識を凝縮した、
その優雅な佇まい。

手巻機械式ムーブメントを採用することで薄型フォルムを実現した、エレガンスコレクション「SBGK007」。小秒針とパワーリザーブ表示が目を惹く。

美しい工芸品と同じように、高級時計も人の手からしか生み出せません。小さなパーツまでていねいに磨き、やわらかなケースのフォルムや美しい光沢面をつくり出すのも、すべて職人の手の感覚によるものです。グランドセイコーが細部までこういった美しさを追求できるのは、ムーブメントからケースまで自社一貫製造するマニュファクチュールブランドだからであることは間違いありません。

特に時間を知るのにも携帯電話やスマートフォンでこと足りる時代に入ると、高級時計は嗜好品としての価値がいっそう高まりました。身に着けることで気分が高揚するような、所有する人の感性に訴えかける価値が求められるのです。この「SBGK007」は、そういった時代が求めたエレガントなドレスウオッチ。手仕事から生まれる優美な表情で、流れる時を特別なものにしてくれることでしょう。

緊張感のある曲線が、
美しさを生み出す。

100を超える工程を経て完成する「根来塗 瓶子」。昔はお神酒をささげるための器だったが、現代では書斎やリビングを飾るオブジェや花器として国を問わず楽しむ人も多いそうだ。

漆芸の基礎となる「木地」は、ろくろに固定した木材を回転させながら、鉋(かんな)で削って型をつくっていきます。職人は0.01mmの単位で、削る量を考えながら作業を進め、ろくろから外してじっと吟味する。そして自分の心の中で合点がいくと、次の工程へと進みます。使う道具は江戸時代から変わらないので、理想のフォルムをつくるためには、自らを鍛錬するしかありません。

緊張感をもってモノづくりと向き合うこと。そうすれば目が鍛えられ、精度が上がり、新たな形状が見つかります。そもそも根来塗は、祭器として大きな柱の寺で使用されていたものでしたが、これを現代の暮らしで使うのならば、サイズは小型化し、フォルムも変化していくことは必然。時代とともに歩み、感性に訴える美を探求することが大切なのです。