グランドセイコー、 美し「時を伝える腕時計

Vol.1 日本ならではの美意識が、 ミラノを沸かせた。

THE NATURE OF TIME

静謐な空間で、
ただゆっくり時が流れていく。

移ろいゆく時、
その永続性を体現。

発光するパウダーでつくられた流体が、ゆっくりと循環していくインスタレーション「FLUX」。光が空間へと溶け込んでいく映像作品と組み合わせて、移ろいゆく時間を可視化している。

ムーブメントの設計から製造、組み立て等をすべて自社で担うグランドセイコーにとって、機能的な価値を語るのはたやすいこと。しかし日本発の時計ブランドとして、製品に込めた思いやモノづくりの哲学を世界に発信する必要があります。ミラノ・デザインウィークはその世界観を具現化する場所なのです。

グランドセイコーのインスタレーション「THE NATURE OF TIME」は3部構成になっており、第1と第2の空間はデザインスタジオwe+(ウィープラス)が手がけた作品「FLUX」を展示。第1の空間では光を表現した映像作品が流れ、ムーブメントパーツを使ったオブジェの周囲を発光パウダーと水を混ぜた流体がゆっくりと動いています。オブジェへの光を受けて流体は発光し、その波紋が徐々に崩れていく。それはすなわち、止まることがなく、二度と戻ることはできないという“時間の本質”を表現しているのです。

時の流れとは、
とてもはかないもの。

ガラス製のオブジェの中のほのかな光は、徐々に暗くなっていく。その静謐な時間の流れは、静かに時を伝えるスプリングドライブ・ムーブメントを思わせる。

第2の空間には、「FLUX」の世界観を凝縮したオブジェが展示されています。有機的なフォルムのガラスの中にはスプリングドライブ・ムーブメントのパーツが収められ、その下に発光パウダーが配されています。ほのかに発光するパウダーが幻想的にパーツを包み込む光景は、まるで小さな宇宙のようにも見えます。

時計は時間という概念を可視化する機械ですが、それがパーツになってしまえば、また時間は見えなくなる。時間とは、とてもはかないものなのです。そして来場者はこの繊細なガラスのオブジェを、愛おしそうに手の中に収めます。それはまるで、はかない時間のかけらを守っているようにも見えました。

大都会の中で
なめらかに流れる時間。

スプリングドライブがつくり出す“時間知覚”の穏やかな変化を表現した映像作品「movement」。刻々と移り変わる大都会の風景が、心の小旅行を体験させてくれる。

第3の空間は、CGディレクターの阿部伸吾さんによる映像作品「movement」を上映しています。阿部さんは秒針をなめらかに動かすスプリングドライブ・ムーブメントの力を、見る人の心をどこか遠くへと運んでいく“動力”と考えて、映像作品をつくり上げました。

舞台は東京。多くの人やクルマが行き交う大都会を移動しながら、カメラがなめらかに風景を切り取っていく。その不思議な映像作品は普段、日本に暮らす我々にとても刺激的です。このなめらかに流れる映像を見ていると、まるで時間旅行をしているような不思議な感覚にとらわれます。ミラノ・デザインウィークの喧騒をふと忘れる……。それもまた、時の豊かさを感じる瞬間なのです。