光を研ぐ。

SBGR001
メカニカルキャリバー9S55を搭載し、1998年に誕生した「SBGR001」。ムーブメントのみならず、デザインや研磨技術も進化を続けている。

光を研ぐ。

メカニカルキャリバー9S55を搭載し、1998年に誕生した「SBGR001」。ムーブメントのみならず、デザインや研磨技術も進化を続けている。

難しいなら、やってみよう。

初代グランドセイコーが発売されて数年後、その精度は世界の頂点へ近づいていた。当時グランドセイコーを担当していたデザイナーのΤ氏は、何度も銀座の時計店を訪れたという。世界の高級時計を、じっくりと検分するためであった。
おそらく彼はこう呟いたことだろう。
「わかった。足りないのは、光だ」

Τ氏が手がけ、名作と呼ばれる1967年の「44GS」は、それまでの腕時計のデザインとは一線を画し、セイコースタイルという新しい「文法」を生んだ。超鏡面に磨き上げられた平面と直線で構成されるその造形は、世界最高レベルの高精度を誇る日本の腕時計に、燦然と輝く新しい存在感を付与するために必要だった。

現在のグランドセイコーのデザインを担うK氏は駆け出しのころ、44GSのデザインは「悪例」とされたことを憶えている。デザインの良し悪しではなく、非常に高度な職人技が必要なため製造現場の効率が下がってしまうのが理由だった。
しかしK氏はこう考える。ハードルに挑むことで職人の技は磨かれていく。それはつまり、腕時計デザインの可能性を広げることにつながるのだ、と。だからK氏は常に現場に出向き、こう言う。
「難しい? よし、それならやってみよう」

K氏の手がけた、長く優雅な弧を描く新しいデザインは、やはり超鏡面に磨き上げられている。更新されていくセイコースタイル、その美しさを支える新しい技を引き出すことも、デザイナーとしての仕事です、とK氏は言った。

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