SYMBOL 文字板に込めた、それぞれの製造地への想い。

現在のグランドセイコーも、ふたつの拠点で製造されている。諏訪精工舎は現在では「セイコーエプソン」となり、長野県塩尻市にてクオーツモデルとスプリングドライブモデルを製造。一方、第二精工舎の流れをくむ「セイコーインスツル」は、岩手県雫石町にて機械式モデルを製造している。塩尻と雫石でつくられるグランドセイコーは、どちらも高い精度と品質を誇る自社製造ムーブメントを搭載し、視認性と実用性、高級感を追求した“セイコースタイル” を基準としている。そのため、両社から生まれる腕時計が大きく異なるということはない。

しかし設計思想や商品哲学、さらには技術に対する思考の違いなど、ふたつの会社が築き上げてきた腕時計文化はいまでも生きている。こういった個々の能力を、グランドセイコーという形で集約させることで、重層的な魅力が加わるのだ。

その一例が、腕時計の顔たる「文字板」。製造地への敬意を込めた特別仕上げを施しているのだ。スプリングドライブモデル「SBGA211」は、塩尻の工房から望む穂高連峰に積もった雪をイメージした通称「信州の雪白(ゆきしろ)ダイヤル」。一方機械式モデル「SBGJ201」は、雫石高級時計工房から見える名峰岩手山の力強い尾根を表現した「岩手山の尾根ダイヤル」。どちらも生産地への思いが実際に表現されている。

なぜグランドセイコーは、ここまで生産地にこだわるのか? そもそも時計産業というのは労働集約型産業であり、工場がある地域の人々を雇用し、親子何代も同じ工場に勤めることも珍しくなかった。つまり“郷土の誇り” として製品をつくってきたのだ。だからこそグランドセイコーもそれぞれの伝統に敬意を払い、製造地を大切にしているのだ。

グランドセイコーは機械式、クオーツ式、スプリングドライブ式という特性の異なるムーブメントを使って腕時計をつくる世界的にも稀有な腕時計ブランドだ。それは「第二精工舎」と「諏訪精工舎」というふたつの会社が切磋琢磨してきた結果であり、そのルーツを大切にする気持ちは、少しも失われていないのだ。

しかし設計思想や商品哲学、さらには技術に対する思考の違いなど、ふたつの会社が築き上げてきた腕時計文化はいまでも生きている。こういった個々の能力を、グランドセイコーという形で集約させることで、重層的な魅力が加わるのだ。

その一例が、腕時計の顔たる「文字板」。製造地への敬意を込めた特別仕上げを施しているのだ。スプリングドライブモデル「SBGA211」は、塩尻の工房から望む穂高連峰に積もった雪をイメージした通称「信州の雪白(ゆきしろ)ダイヤル」。一方機械式モデル「SBGJ201」は、雫石高級時計工房から見える名峰岩手山の力強い尾根を表現した「岩手山の尾根ダイヤル」。どちらも生産地への思いが実際に表現されている。

なぜグランドセイコーは、ここまで生産地にこだわるのか? そもそも時計産業というのは労働集約型産業であり、工場がある地域の人々を雇用し、親子何代も同じ工場に勤めることも珍しくなかった。つまり“郷土の誇り” として製品をつくってきたのだ。だからこそグランドセイコーもそれぞれの伝統に敬意を払い、製造地を大切にしているのだ。

グランドセイコーは機械式、クオーツ式、スプリングドライブ式という特性の異なるムーブメントを使って腕時計をつくる世界的にも稀有な腕時計ブランドだ。それは「第二精工舎」と「諏訪精工舎」というふたつの会社が切磋琢磨してきた結果であり、そのルーツを大切にする気持ちは、少しも失われていないのだ。

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信州


写真:毎日新聞社 / アフロ

「信州の雪白ダイヤル」は2005年10月に発売されたスプリングドライブモデル「SBGA011」にて初採用。Cal.9R65は輪列と受の形状で穂高連峰の山並みを表現し、文字板でも信州の美しさを表現したいというデザイナーの一念から開発がスタート。厳しい寒さが生むザラザラした雪面を表した質感が特徴。

岩手


写真:毎日新聞社 / アフロ

「岩手山の尾根ダイヤル」が初登場したのは、グランドセイコー初の機械式3日巻ムーブメントCal.9S67を搭載し、2006 年に発売された「SBGL001」。雫石高級時計工房から見える名峰岩手山の山肌に刻まれた無数の尾根を、文字板上で表現。冬の白色、秋の茶色、初夏の緑色などの種類が存在する。

COLUMN

製造のヒントは、
1971年につくられたモデルから。

「誰も足を踏み入れていない、ザラザラとした雪面を表現したい」というデザイナーの熱意に応えるべく、文字板担当者が見つけてきたのが、写真の1971年製の「56GS」。このモデルと同じような凹凸をつくるために文字板の型を製作。諏訪精工舎の技術と伝統が、何十年もの時を経て、見事に融合したのだった。


写真:小宮山隆司 / アフロ