AESTHETIC 造形に隠された、ブランドの美意識。

手巻式を追いかけるように開発が進んでいた自動巻式スプリングドライブだが、グランドセイコーに搭載するには、より高品質化が必要だった。実用性を高めるために約72時間の長時間駆動を実現させたが、核となる技術はセイコーエプソンが開発した超低消費電力のICである。一方で、パワーロスを減らすために、伝統的な手法である歯車のカナ磨きを復活させた。さらに効率的に動力ぜんまいを巻き上げる方法として、1959年のジャイロマーベルで考案されたマジックレバー方式を採用。最新鋭でありながら、セイコーの伝統も受け継いでいた。

完成したグランドセイコー専用の自動巻式スプリングドライブムーブメントCal.9R65は、「SBGA001」など3モデルに搭載されて2004年の9月に発売された。すると、すぐさま大きな話題となる。機械式のグランドセイコーにはスイス腕時計という強大なライバルがいたが、スプリングドライブはほかとは異なる“独創”という価値があったからだ。

SBGA001はグランドセイコーならではの大きな針やカレンダー表示に加え、ロングパワーリザーブで実用性を高め、さらにデザイン面でも挑戦した。滑らかに動く秒針と同調するように、ケースはベゼルから胴、裏ぶたへとつながる滑らかなデザインを採用。ボリューム感のあるケースを軽やかにして装着感をよくするため、ケースサイドに逆テーパー斜面を作った。初となるパワーリザーブ表示も特徴で、バーインデックスの形状を変えてダイヤル上の縦横ラインを強調。メリハリをもたせつつ視認性も向上させた。

ムーブメントのブリッジや輪列には、製造している信州 時の匠工房の周囲に広がる山々の姿を投影させ、高精度なだけでなくロマンティックな魅力にも満ちている。スプリングドライブには、腕時計技術者の“夢”が詰まっているからだ。

完成したグランドセイコー専用の自動巻式スプリングドライブムーブメントCal.9R65は、「SBGA001」など3モデルに搭載されて2004年の9月に発売された。すると、すぐさま大きな話題となる。機械式のグランドセイコーにはスイス腕時計という強大なライバルがいたが、スプリングドライブはほかとは異なる“独創”という価値があったからだ。

SBGA001はグランドセイコーならではの大きな針やカレンダー表示に加え、ロングパワーリザーブで実用性を高め、さらにデザイン面でも挑戦した。滑らかに動く秒針と同調するように、ケースはベゼルから胴、裏ぶたへとつながる滑らかなデザインを採用。ボリューム感のあるケースを軽やかにして装着感をよくするため、ケースサイドに逆テーパー斜面を作った。初となるパワーリザーブ表示も特徴で、バーインデックスの形状を変えてダイヤル上の縦横ラインを強調。メリハリをもたせつつ視認性も向上させた。

ムーブメントのブリッジや輪列には、製造している信州 時の匠工房の周囲に広がる山々の姿を投影させ、高精度なだけでなくロマンティックな魅力にも満ちている。スプリングドライブには、腕時計技術者の“夢”が詰まっているからだ。

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SBGA001

2004年誕生の“初代”、「SBGA001」。12時、6時、9時のくさび形インデックスは縦横のラインを強調。この文字板のバランスは「クロスラインレイアウト」と呼ばれた。

SLANT MONO FORM SLANT MONO FORM

左:べゼルからケースへと繋がる滑らかな流れは「SLANT MONO FORM」と命名された。右:機械式やクオーツと比べると自動巻式のスプリングドライブムーブメントはやや大型。サイズ感を意識させないように、-13度の逆斜面を作ってケースを薄く見せる。デザインの力で洗練されたフォルムに仕上がっている。

自然の摂理と調和した、
時計の新しい価値。

時間という概念は、とどまらず動き続ける天体の動きから導き出された。それゆえスプリングドライブムーブメントは、スイープ運針と呼ばれる方法で流れるように秒針が動く。自然の摂理と調和し、人間のリズムと響きあう心地よさがある。
写真:毎日新聞社/ アフロ

スプリングドライブが開発された信州・諏訪地方への敬意を表し、ムーブメントのブリッジや輪列の形状は、周囲を取り囲む穂高連峰や常念山脈などをイメージ。こういった感情に訴えかけるデザインを取り入れるのも、これまでにグランドセイコーにはなかった画期的なコンセプトである。

写真:毎日新聞社/ アフロ

※本ページに掲載している時計の写真は、一部、発売時の仕様とは異なるものがあります。