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2022.01.14.FRI

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エッセンス・オブ・グランドセイコー Vol.5

セイコースタイル、55年の進化と深化を読む──第1弾「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル」

2022年に誕生から55周年を迎える「44GS」。グランドセイコーのデザインコードを体現した 「44GS」とは何だったのか? 最新作「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル」を通して、セイコースタイルの進化と深化を読み解く。

  • Words: 広田雅将 Masayuki Hirota
  • Photos: 星 武志 Takeshi Hoshi @ estrellas
  • Styling: 石川英治 Eiji Ishikawa @ T.R.S
44GS,ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル

▲左は1967年に完成した通称「44GS」のオリジナルモデル。グランドセイコーのデザインを完成させたいわば原点。グランドセイコーはこのデザインを幾度となくリバイバルさせてきた。その最新作が、右の「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル」だ。

今の技術でリファインした、最新の44GS

切り立ったエッジと、大きな平面で構成されるグランドセイコーのデザイン文法である「セイコースタイル」。それを完成させたのが、1967年の通称44GSだった。グランドセイコーの特徴であるザラツ研磨も、このモデル以降、大々的に採用されるようになったものだ。いわば、グランドセイコーの原点ともいえる44GS。セイコーがこのデザインをリバイバルしようと考えたのは当然だろう。

44GS

▲44GSの大きな特徴が、極端に大きなラグの上面。ザラツ研磨を使うことによって、ほぼ歪みのない鏡面となった。

その最新作が、「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル」だ。平面を強調した44GSのデザインを受け継ぎつつも、立体感はいっそう増している。搭載するムーブメントは、グランドセイコーのお家芸ともいえる、ハイビートでGMT付きだ。復刻版にせよ、現代版にせよ、44GSと言われるモデルに傑作が多いのは、偉大な原点を深く理解して大切に守っているから。新作も例外ではなく、44GSを名乗るに相応しい完成度をもっている。

ベースとなったのは、2014年の話題作

44GS

▲平面で構成されるグランドセイコーのデザインは、立体感をもたせるのが難しい。近年は高いインデックスと立体的な針が、優れた視認性をもたらしている。

44GSの造型を決定づけたザラツ研磨とは、ケースを平面に磨きながら、角を残すために用いられる手法だ。回転する板に研磨剤を塗り、ケースを当てて、ケースを磨き上げていく。そもそもこれは、平たい面を磨くのに適したテクニックだった。多くのグランドセイコーが、大きな平面をもつようになった理由だ。しかし、近年のグランドセイコーは、平面にしか向かないザラツ研磨を、曲面や立体的な面に使うようになった。

「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル」のベースとなったのは、2014年の「メカニカルハイビートGMT」。44GSのデザインに、グランドセイコーならではの造形を合わせたこのモデルは、2014年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリで「小さな針賞」を受賞した。グランドセイコーがこの傑作をリモデルしようと考えたのは当然だろう。

細かな手直しに見る、グランドセイコーの成熟

44GS

▲端正な造形をもつ「ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル」。外装の素材はなんとステンレスではなくブライトチタン製。しかしながら、ステンレスに似た質感と、普段使いに向く軽さを手に入れた。その重さはわずか100gちょっと。高級時計らしからぬ軽さも本作の大きな魅力だ。

細部には細かく手が入れられたが、2014年の受賞モデルとの大きな違いはケースやブレスレットの素材だ。オリジナルはステンレススチール製だったが、2021年モデルは、軽くて錆びにくい、ブライトチタンに置き換わった。柔らかいチタンをステンレスのように磨くのは非常に難しいが、毎年のように外装を改良するグランドセイコーは、平面が大きい44GSのケースでもそれを可能にしている。

文字盤も改良した。2014年モデルはトレンドを先取りするグリーンだったが、新作はオーソドックスなホワイトだ。とはいえ、下地に施された細かな筋目は、数百万円台の時計に肩を並べるもの。もともと文字盤の出来が良かったグランドセイコーだが、本作はいっそう質を高めた印象を受ける。

名機44GSのデザインを継承し、2014年にジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリを受賞したメカニカル ハイビート GMT。アップグレードした本作は、過去に根ざし、たゆまぬ歩みを続ける、グランドセイコーを象徴した1本と言える。44GSにハズレなし、を体現する名作だ。

  • ▲2022年モデルの魅力が、筋目を強調したホワイト文字盤。筋目が細かい文字盤は高級感をもたらすいっぽうで、視認性が悪くなるのが一般的だが、グランドセイコーは、細かな放射目を施し、さらにインデックスと針を立体的に加工することによって視認性を確保した。加えて、インデックスと針に夜光塗料を加えて、暗所でも時間が見やすくなった。

  • ▲第2時間帯を示すGMT針は、青焼きのスチール製。深みのある色は、青焼きのスチール針しかもてないものだ。針を磨き、焼いて色を付けた後、くぼみに夜光塗料を充填する。拡大してもまったくアラが見えないのは、グランドセイコーならではだ。

  • ▲44GSならではの造形。ザラツ研磨を使うことによって、ラグの上面にはほぼ完全な鏡面が施される。

  • ▲2014年の受賞モデルが搭載していた、金色のチタン製回転錘が復活した。金色はメッキ加工ではなく、金属の酸化処理で実現したもの。

  • ▲ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 GMT 44GS 55周年記念モデル「SBGJ255」
    ブライトチタンケース×ブレスレット、9S86 自動巻き(手巻きつき)、40mm径。¥946,000(税込)