GS Grand Seiko

PRODUCT STORY 2傷が付きにくく美しい、
セラミックスという素材。

その語源はギリシャ語のケラモス(粘土を焼き固めたもの)だが、現代の技術が生み出したファイン・セラミックスは『化学組成、結晶構造、微構造組織・粒界、形状、製造工程を精密に制御して製造され、新しい機能または特性をもつ、主として非金属の無機物質』と定義される。そのひとつであるジルコニア・セラミックスは、宝飾品でもあるキュービック・ジルコニアとほぼ同じ成分。金属より軽いが、金属をはるかに上回る硬度と独特の深みのある光沢をもつ。しかしその硬さのゆえに、加工の自由度は著しく低い。ジルコニア・セラミックスを採用したグランドセイコーの外装を担当した設計者や技術者は、このセラミックスという素材に取り組む中で、逆説的にステンレスの「柔らかさ」を実感したという。

セラミックスの試作品(右)と完成部品(左)。試行錯誤を重ね、流麗な曲面や多面体を表現することに成功。

防水性能だけが、
ダイバーズの魅力ではない。

1920年代、ムーブメントを保護するために防水機能と防塵機能を備えた腕時計が考案され、やがて水中で使用するための腕時計、ダイバーズウオッチが生まれる。もともと特殊な用途のために開発されたものだったが、防水機能はもちろんのこと、視認性、耐衝撃性など、現在の腕時計では常識となったさまざまな機能や性能は、このダイバーズウオッチから採り入れられたものが多い。日本のダイバーズウオッチの歴史を紐解くと、1965年発売の国産初となる150mダイバーズ、1975年発売の画期的な飽和潜水用600m防水ダイバーズなど、日本を代表するモデルが、諏訪精工舎(現・セイコーエプソン)によって開発されてきたことがわかる。スプリングドライブの故郷は、日本のダイバーズの故郷でもあるのだ。

スプリングドライブ搭載ダイバーズのケース断面図。グランドセイコーのためだけに考案された機構も。