AESTHETICS 機能を最大限に活かす、美しき外装。

グランドセイコー初のクロノグラフは“世界で最も正確なぜんまい駆動のクロノグラフ”を目指して開発が始まった。根幹技術として採用されたのが、2004年にグランドセイコーに搭載された自動巻スプリングドライブムーブメントだった。自動巻スプリングドライブムーブメントは将来的にGMTやクロノグラフへと進化できるようにあらかじめ設計していた。トルクが大きくて持続時間が長く、しかもモジュールを加えてもムーブメントが大きくなりすぎないように、厚みも配慮された。さらにパワーリザーブ表示を7-8時位置に置くレイアウトも、バリエーションの追加を見据えたものだった。“時を操る”というエモーショナルな魅力を最大限に活かすために、デザイン面も進化を遂げた。2007年の初代スプリングドライブクロノグラフでは、プッシュボタンを大型化することで計測機器としての価値をアピールした。2010年以降は世界市場を意識し、グランドセイコーの魅力をよりダイレクトに表現するデザインを模索し始める。

2016年に誕生したスプリングドライブクロノグラフは、セラミックス製の外胴パーツを使い先進性を表現した。セラミックス素材は時計業界のトレンドでもあるが、グランドセイコーがこの素材を選んだのは軽く着け心地が向上するから。しかも硬くて傷がつきにくいため、グランドセイコーのデザイン基準である歪みのない鏡面とシャープな稜線がいつまでも損なわれないというメリットもある。

しかしその一方でセラミックスは衝撃に弱く、万が一にも腕時計を落としてしまうと、ケースが割れてしまう恐れがある。そこでデザインチームは、ブライトチタン製のインナーケースにムーブメントを収め、その外側にセラミックスパーツを配置する方法を考案した。この複合構造を採用してケースサイズが大きくなりすぎるのを防ぐために、ベゼルの角度を抑え、ラグにボリュームをもたせて視覚的重心を下げ、腕元に安定感を与えている。革新性をデザインしたスプリングドライブクロノグラフだが、ケース素材や構造は極めて論理的に導き出された。だからこそグランドセイコーにふさわしいクロノグラフへと、辿り着くことができたのだ。

2016年に誕生したスプリングドライブクロノグラフは、セラミックス製の外胴パーツを使い先進性を表現した。セラミックス素材は時計業界のトレンドでもあるが、グランドセイコーがこの素材を選んだのは軽く着け心地が向上するから。しかも硬くて傷がつきにくいため、グランドセイコーのデザイン基準である歪みのない鏡面とシャープな稜線がいつまでも損なわれないというメリットもある。

しかしその一方でセラミックスは衝撃に弱く、万が一にも腕時計を落としてしまうと、ケースが割れてしまう恐れがある。そこでデザインチームは、ブライトチタン製のインナーケースにムーブメントを収め、その外側にセラミックスパーツを配置する方法を考案した。この複合構造を採用してケースサイズが大きくなりすぎるのを防ぐために、ベゼルの角度を抑え、ラグにボリュームをもたせて視覚的重心を下げ、腕元に安定感を与えている。革新性をデザインしたスプリングドライブクロノグラフだが、ケース素材や構造は極めて論理的に導き出された。だからこそグランドセイコーにふさわしいクロノグラフへと、辿り着くことができたのだ。

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グランドセイコー「SBGC221」を横から見る。ベゼルやラグの角度やボリューム感を研究し、可能な限り厚みを抑制して重心を下げている。この工夫が、着け心地を向上させているのだ。

軽くて強固なブライトチタンでインナーケースと裏ぶたを構成。外側からセラミックスの外胴パーツをビス留めするのだが、その際に内胴と外胴の間にごくわずかの隙間をつくっている。ここで衝撃を逃がし、メンテナンスがしやすい構造にしているのだ。

COLUMN

「G-Surface」という、試作機が存在した。

先進的な腕時計の開発を目指し、2013 年に発足した「Advance Design Project」。ザラツ研磨を施した外胴と硬質ラバーの内胴を組み合わせたコンセプトモデル「G-Surface」の存在が、複合ケースのヒントとなった。