【グランドセイコー、未来へ紡ぐ10の物語】
Vol.4 進化するクオーツで、
新たなる究極をつくりだす。
NEW GENERATION クオーツ、そして高精度時代の到来。
最高精度の機械式ムーブメント、「V.F.A.(Very Fine Adjusted)」を開発したセイコーだったが、同年に世界初のクオーツ式腕時計「クオーツ アストロン」を発売したことで、腕時計技術はクオーツ式へと移行していく。アポロ11号が月面着陸に成功し、科学技術の目覚ましく進化する時代にあって、クオーツムーブメントも未来を感じる技術だったのだ。
腕時計業界の最先端を進むセイコーもクオーツムーブメントの開発に力を入れるが、その目標はあくまで高精度の追求。1969年に誕生した「クオーツ アストロン」の精度は月差±5秒だが、ここから先が困難だった。クオーツムーブメントは、水晶振動子に電圧を加えると発生する振動を利用して、正確な1秒を割り出すメカニズム。ところが水晶振動子は、温度の変化によって振動数が変わってしまうという特性があったのだ。
そこでセイコーは2本の水晶振動子を内蔵し、一つを温度検出用として使い、もう一つの振動子の温度変化による誤差を時計内部で補正する方式を考案する。1978年に完成したこのムーブメントは“ツインクオーツ”と命名され、精度は遂に年差レベルに突入した。「グランドツインクオーツ」が年差±10秒精度で、「セイコースーペリア ツインクオーツ」がさらにその上をいく年差±5秒精度で発売された。
しかしまたもや試練が訪れる。80年代に入るとムーブメントの薄型化が進行し、腕時計は一気にファッション化する。バブル期に突入すると、ドレッシーな「クレドール」や多機能ウオッチ、スポーツウオッチは好調だったが、「グランドツインクオーツ」の販売は伸び悩み、1985年を最後にカタログからも姿を消してしまう。もはや高精度腕時計は市場が小さくなったのだ。クオーツ時代のセイコーの腕時計とは何か?その答えを見出すべく、機械式グランドセイコーの製造が終了して10年以上経った、1980年代後半にプロジェクトが発足した。
NEW GENERATION クオーツ、そして高精度時代の到来。
最高精度の機械式ムーブメント、「V.F.A.(Very Fine Adjusted)」を開発したセイコーだったが、同年に世界初のクオーツ式腕時計「クオーツ アストロン」を発売したことで、腕時計技術はクオーツ式へと移行していく。アポロ11号が月面着陸に成功し、科学技術の目覚ましく進化する時代にあって、クオーツムーブメントも未来を感じる技術だったのだ。
腕時計業界の最先端を進むセイコーもクオーツムーブメントの開発に力を入れるが、その目標はあくまで高精度の追求。1969年に誕生した「クオーツ アストロン」の精度は月差±5秒だが、ここから先が困難だった。クオーツムーブメントは、水晶振動子に電圧を加えると発生する振動を利用して、正確な1秒を割り出すメカニズム。ところが水晶振動子は、温度の変化によって振動数が変わってしまうという特性があったのだ。
そこでセイコーは2本の水晶振動子を内蔵し、一つを温度検出用として使い、もう一つの振動子の温度変化による誤差を時計内部で補正する方式を考案する。1978年に完成したこのムーブメントは“ツインクオーツ”と命名され、精度は遂に年差レベルに突入した。「グランドツインクオーツ」が年差±10秒精度で、「セイコースーペリア ツインクオーツ」がさらにその上をいく年差±5秒精度で発売された。
しかしまたもや試練が訪れる。80年代に入るとムーブメントの薄型化が進行し、腕時計は一気にファッション化する。バブル期に突入すると、ドレッシーな「クレドール」や多機能ウオッチ、スポーツウオッチは好調だったが、「グランドツインクオーツ」の販売は伸び悩み、1985年を最後にカタログからも姿を消してしまう。もはや高精度腕時計は市場が小さくなったのだ。クオーツ時代のセイコーの腕時計とは何か?その答えを見出すべく、機械式グランドセイコーの製造が終了して10年以上経った、1980年代後半にプロジェクトが発足した。
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1988年に復活した「グランドセイコー」。低トルクというクオーツムーブメントの弱点をカバーするために、針は細いバトン型を採用した。薄型のケース側面は美しく磨きこまれており、上品さと品格を感じさせる。
クオーツを搭載し、
高精度な腕時計が次々に誕生。
1974年
セイコークオーツ スーペリア3883
1974年
セイコークオーツ スーペリア
3883
平均月差を±2秒に収めた高精度モデル。水晶の振動数は現在の半分の16,384Hz。電池寿命は1年。20万円以上の高級モデルだった。
1976年
セイコークオーツ スーペリア4883
1976年
セイコークオーツ スーペリア
4883
1976年に発売されたモデルで、月差はなんと±1秒を実現。電池寿命も2年以上になり、実用性も向上した。振動数は現在と同じ32,768㎐。
1975年
グランドクオーツ4843
1975年
グランドクオーツ
4843
1975年発売のグランドクオーツ。精度は月差±5秒。シンプルなデイデイトに、10秒ごとの秒針停止装置や電池寿命切れ予告機能も備えた。
1978年
グランドツインクオーツ9943
1978年
グランドツインクオーツ
9943
1年で±10秒しか誤差が生じない超高精度ウオッチ。6時位置の水晶振動子マークを二つ重ねて、ツインクオーツであること示す。
1978年
セイコースーペリア ツインクオーツ9983
時刻をつかさどる基準水晶振動子と温度検出用の副水晶振動子を搭載し、温度変化による誤差を補正することで年差レベルの高精度を実現。小型化、薄型化、低消費電力化もクリア。
1970年代の主なクオーツムーブメントの精度
主なブランド | その他のブランド | キング クオーツなど |
グランドクオーツ | クオーツ スーペリア |
クオーツ スーペリア |
キング ツインクオーツ |
グランド ツインクオーツ |
スーペリア ツインクオーツ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主なキャリバー | 他機種 | 4823、5856など | 4843(1975年) | 3883(1974年) | 4883(1976年) | 9923(1979年) | 9943(1978年) 9256(1978年) |
9983(1978年) |
月差(秒) | ±15、±20 | ±10 | ±5 | ±2 | ±1 | |||
年差(秒) | ±20 | ±10 | ±5 |
主なブランド | 主なキャリバー | 月差(秒) | 年差(秒) |
---|---|---|---|
その他のブランド | 他機種 | ±15、±20 | |
キング クオーツなど |
4823、5856など | ±10 | |
グランドクオーツ | 4843(1975年) | ±5 | |
クオーツ スーペリア |
3883(1974年) | ±2 | |
クオーツ スーペリア |
4883(1976年) | ±1 | |
キング ツインクオーツ |
9923(1979年) | ±20 | |
グランド ツインクオーツ |
9943(1978年) 9256(1978年) |
±10 | |
スーペリア ツインクオーツ |
9983(1978年) | ±5 |
機械式腕時計で最高峰の精度を誇ったV.F.A.は、月差±1分。機械式腕時計としては驚異的な高精度だが、セイコーの高精度クオーツムーブメントは月差が±15秒以内がほとんど。温度変化にも対応したツインクオーツになると、精度基準は“年差”となり、精度レベルは圧倒的に向上している。