【グランドセイコー、未来へ紡ぐ10の物語】 Vol.10 高い実用性能に美しさを加えた、
最高峰の8日巻。

8 DAYS 実用を超えてたどり着いた、理想のメカニズム。

グランドセイコーは1960年の誕生以来、高精度や視認性など、機能的な側面を磨いてきた。しかしさらに高いレベルを目指すには「美しさ」を突き詰める必要がある。しかし“美しい”という言葉は曖昧だ。心を動かし、時代を超えるデザインとはなにか? その答えに挑んだのが、セイコーエプソンの特別部門「マイクロアーティスト工房」だった。

スプリングドライブ式ミニッツリピーターなどの複雑時計を製作し、ムーブメントの仕上げにも完璧を期し、いくつもの傑作をつくってきた彼らだが、主戦場はエレガントな「クレドール」。実用性を重視するグランドセイコーを製作するのは初めての経験となる。では、マイクロアーティスト工房らしいグランドセイコーとはなにか? そこで意識されたのが、スプリングドライブムーブメントと機械式ムーブメントの違いだった。

機械式ムーブメントは、動力ぜんまいがほどけてトルクが弱まると、てんぷの振り角が落ち精度にも影響する。しかしスプリングドライブは動力ぜんまいの力で発電し、IC回路で歯車の回転速度を制御するため、トルクの変化が精度に影響を与えない。つまり機械式ムーブメントが逃れられない弱点を、完璧にクリアしているのだ。

ぜんまい残量に関わらず、高精度を維持できるスプリングドライブのメリットを感じてもらうには、ロングパワーリザーブ機構こそが最適だ。Cal.9R01は8日間も連続駆動するが、これは現代人のサイクルである1週間に、1日の余裕を与えるという意味がある。しかも裏側に配置したインジケーターはりゅうずを回すことに応じて動くので、その動作を通して“時計との対話”を楽しめる。実用性能をより高め、所有する喜びも得られる特別なムーブメントによって、グランドセイコーの最高峰への道が見えた。

8 DAYS 実用を超えてたどり着いた、
理想のメカニズム。

グランドセイコーは1960年の誕生以来、高精度や視認性など、機能的な側面を磨いてきた。しかしさらに高いレベルを目指すには「美しさ」を突き詰める必要がある。しかし“美しい”という言葉は曖昧だ。心を動かし、時代を超えるデザインとはなにか? その答えに挑んだのが、セイコーエプソンの特別部門「マイクロアーティスト工房」だった。

スプリングドライブ式ミニッツリピーターなどの複雑時計を製作し、ムーブメントの仕上げにも完璧を期し、いくつもの傑作をつくってきた彼らだが、主戦場はエレガントな「クレドール」。実用性を重視するグランドセイコーを製作するのは初めての経験となる。では、マイクロアーティスト工房らしいグランドセイコーとはなにか? そこで意識されたのが、スプリングドライブムーブメントと機械式ムーブメントの違いだった。

機械式ムーブメントは、動力ぜんまいがほどけてトルクが弱まると、てんぷの振り角が落ち精度にも影響する。しかしスプリングドライブは動力ぜんまいの力で発電し、IC回路で歯車の回転速度を制御するため、トルクの変化が精度に影響を与えない。つまり機械式ムーブメントが逃れられない弱点を、完璧にクリアしているのだ。

ぜんまい残量に関わらず、高精度を維持できるスプリングドライブのメリットを感じてもらうには、ロングパワーリザーブ機構こそが最適だ。Cal.9R01は8日間も連続駆動するが、これは現代人のサイクルである1週間に、1日の余裕を与えるという意味がある。しかも裏側に配置したインジケーターはりゅうずを回すことに応じて動くので、その動作を通して“時計との対話”を楽しめる。実用性能をより高め、所有する喜びも得られる特別なムーブメントによって、グランドセイコーの最高峰への道が見えた。

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「SBGD201」 「SBGD201」

グランドセイコー初となる、8日間のロングパワーリザーブムーブメントCal.9R01を搭載した「SBGD201」。手巻スプリングドライブ、プラチナ950ケース、ケース径43.0㎜、セイコープレミアムブティックおよびセイコープレミアムウオッチサロン限定モデル、6,200,000円+税

8日間連続駆動というスペックを表すために、裏側にパワーリザーブ表示を搭載。ゼロ位置をあいまいにせず目盛りを切っているのは、ぜんまいの巻き上げが極限まで少なくなっても精度を維持できることを示すため。

腕時計を長時間駆動させるためには、動力ぜんまいの長さが重要になる。Cal.9R01では3つの香箱を使ってパワーを確保。さらに香箱車と角穴車をダイレクトにかみ合わせることで、力の伝達ロスを最小限にしている。

COLUMN

ムーブメントに描かれた、
霊峰富士を望む諏訪の情景。

ムーブメントは一枚の大きな受け板で歯車の輪列を押さえ、衝撃にも強い構造となっている。受け板のエッジは日本産のゲンチアナルチアという植物の枝で磨き、美しいポリッシュ面に。受け板形状は富士山、ローターは太陽、ルビーは諏訪の街の灯り、そしてパワーリザーブ表示は諏訪湖をイメージしている。


写真:アフロ